今世の使命 ②
実は母親とあまり気が合わなかったので早くに自活をしたいと願っていた。
高校を卒業し六甲山ホテルに就職が決まってからはずっと神戸市民。
実家に帰る事はほとんどなかった。
子供を産んだ後の里帰りくらいかな。
でもその時でさえ、育児に関して親子喧嘩になる始末。昔と今は育児の常識が違うからね。
親子やから喧嘩も出来るんやろうけど、お互い傷つくしひどく疲れる。
再び実家からは遠ざかった。
しかしながらコロナで往来自粛になる度に、私にはある思いが浮かぶ。
やっておかねばならない事がある。やっておかねば、必ず後悔する事がある。それは親孝行。
足腰も気も弱り、運転をやめた母親。時々電話をするが、声を聞くだけで、元気な日と気分が優れない日がすぐにわかる。今でも現役主婦で父親と弟のご飯の準備をしている。
筍や山菜を発送した連絡のついでに弟に
「なんかさぁ、もう親も80過ぎてるやん?私は18歳で家を出たし親孝行もしてへんしな。元気なうちに両親と時間を共有しておきたいな、と思ってな。田植えの時に飯炊き係でいっぺん実家に帰ろうと思ってる」と言っておいた。